こんにちは、SAATです。

今回ご紹介する内容は、クライタックのクリスベクターの内部トラブルについてです。
大分県にお住いのT様からお預かりした銃になります。

依頼内容は・・・
・ギアノイズ低減
・モーター交換 OPTION NO1 プラグインブラシレスモーター トルク型
・シム調整
・パーツ交換 LayLax カスタムマガジンキャッチ

分解は若干面倒な銃ではありますが、内容はいたって普通です。
以前に別の方からこれと同じベクターのリミテッドエディションの依頼をお受けしたことがありますが、「ギアノイズの大きさが尋常じゃないよ。動かして大丈夫?」と、私を含め周囲の方が本気で心配するほどの音でした。

今回はそこまで大きくはないですが、なかなかの音量でギャーギャ鳴ってます(^_^;)

この依頼がこんなにも面倒なことになるとは、この時は思いもしませんでした。

分解が終わりシム調整をしていたときです。
メカボックスのケースを閉じると、明らかに隙間ができます。
そうです、メカボのケースが歪んでました。

ネットで調べてみると、何件かヒットしました。
あるあるのようですね、高い銃なのに・・・。

次に、ギアのみ組んで指でギアを動かすとスムーズに動くのに、タペットプレートやピストン&シリンダーを組むとある一定のところで、指で動かすのが困難なくらいの抵抗があります。

よくよく調べてみると、セクターギア、ピストン、タペットプレートのサイズや形状がでたらめでした。

まず、セクターギアとピストンの関係からですが、サイズがめちゃくちゃです。社外のセクターギアに比べて、ベクター純正の方が0.42mmも大きかったです。
細かく計測したかったのですが、時間がなかったので外径しか測ってません。

次にピストンです。
歯の高さが明らかに違います。
歯の高さが変わっているところが樹脂歯と金属歯の境目なのですが、セクターがピストンを引き始めた瞬間にかなりの抵抗感がありますが、金属歯に変わったところで、指では動かせないほどの渋さとなります。

こんだけ大きさ違えば、そりゃ動きも渋くなりますね。

次はタペットプレート(以下TP)です。
セクターを回していって、ちょうど引き始めたところです。
この写真はすでに加工を加えた後ですが、矢印の方向に力がかかりギアの抵抗が一気に大きくなります。

加工する前は、この段階でTPが反り上がりました。
TPが最大後退位置まで下がったところです。
このへんになると、指では回せないくらい大きな負荷がかってます。

加工する前だと、この位置になるとTPの反りも半端ない角度です。
実際は溝にはまってるので反りはしませんが、その負荷はかなりのものでしょう。


結果的にタペットプレートの羽(?)の部分を最大で1mmほど削り整形しました。
ぶっちゃけ、よく今まで壊れなかったなぁと思いました。

次にピストンとギアですが、なるべくお金がかからないようにと、パーツの組み合わせをとっかえひっかえしましたが、セクターギアもピストンも交換しないとダメでした。

という事で、再度シム調整です。
純正のスパーはスプリングによる自動調整ですが、スプリングだとギアが暴れると大変なので、いつも通りオリジナルのカラーを使って仕上げます。
セクターギアを交換する事で、別の問題が発生します。
一つはコレです。
セクターギア用の逆転防止ラッチです。
どうやっても接触するようであれば、薄く削るか取り除く他ないと考えてましたが、特に問題なかったのでそのままです。

っていうか、制御系統に絡んでるわけでもないので、取っ払っても関係なさそうですが、何でこんな物付けたんでしょう・・・意味不明。

まぁそれは置いといて、セクターギアを交換したのはいいのですが、カムの微妙な形状の違いから、カットオフレバーの最大運動量が減ってしまいました。
左:サードパーティー製品 右:ベクター純正
カムによりカットオフレバーが動いてマイクロスイッチを押す仕組みになってるのですが、運動量が減ったせいでスイッチを押すほどの可動域が得られないので、少なくなった可動域でもきちんとスイッチが押せるよう調整します。
最後に、右手の人差し指で簡単にマグキャッチを操作できるようになる、LayLaxのカスタムマガジンキャッチを取り付けて終了です。
これはいいですね!
1cmくらいの調整幅もあって、マガジンチェンジが飛躍的にやりやすくなります。
ただ、一度レシーバーを分離させないと取付できないのが難点ですが・・・。

最後に、モーターを交換して完成です!
写真を撮り忘れましたが、モーターはOPTION NO1のブラシレスモーター(トルク型)です。
ギアノイズが大きく低減したのはもちろんのこと、セミ/バースト/フルも問題なく作動します。

クリスベクターのリミテッドエディションといえば、定価94,380円もする高額銃です。
それが、文字通り蓋を開けてみるとこの内容・・・とても残念です。

以前カスタムしたベクターのリミテッドエディションは、ジャイアンの歌声レベルのギアノイズを発していたものの、内部はいたって普通だったので今回の事案は『ハズレ』を引いてしまったのでしょう。

あなたのベクターは大丈夫ですか?

ってね(笑)