こんにちは、SAATです。
今回ご紹介する銃は、『メタルギアソリッド3(以下MGS)』というゲームに登場する『ザ・ボス』という女性キャラが使用している銃になります。
かなり有名なコンテンツで、ゲームをしない人でもタイトルを耳にした事はあるのではないでしょうか。
今回は、大阪にお住いのF様より「このパトリオットを作ってほしい」と依頼を受け作成する事になりました。
ちなみに、外装だけじゃないですよ。
内部もフルカスタムです!
ザ・ボスが登場するMGS3が発売されたのは2004年の11月のようで、翌年くらいになると、このパトリオットをモデルにした銃もいくつも出ていたようですし、外装キットもあったようなので、それを使って個人で作成された写真もたくさん見つかりました。
なので「これなら外装パーツは簡単に見つかるだろう」と安易に思ってしまったのですが、さすがに時間が経っていて、流通在庫など当然なく、どのメーカーも廃番になっていました。
となると、なるべく似ている物を探すしかありません。
銃の感じはこんなです。
キャリングハンドル一体型で、グリップのフィンガーチャンネルもないので、ベースはマルイのM16やXM177辺りになるでしょう。
マガジンはFIRST様でカスタムされた、マルイのツインドラムマガジンをお持ちという事なのでOK!
問題は、銃のデザインを大きく左右する『ハンドガード』『ストックチューブ』『ハイダー』『ガスブロック』です。
ただ、よく見るとこの銃、フロントサイトがないんですよ。
それだとサバゲーで狙いを定める事ができないので、依頼者様と相談してフリップアップタイプのフロントサイトを取り付けることにしました。
それと、「キャリハンを外して光学機器を載せるかもしれない」という事なので、ベースの銃はM16/XM177→M4系に変更です。
ちょうど店頭にSR16があったので、ベースはこれに決定です。
もちろん新品ですよ。
外装で変更するパーツ一覧です。
・ハンドガード
・アウターバレルベース&アウターバレル
・フロントサイト
・ハイダー
・ストックチューブ
・スリング
まずはハンドガードから合わせていきます。
純正のフロント回りを分解し、ハンドガードを取り付けようとしますが、奥まで入っていきません。
アウターバレルは問題なさそうなので、ネジ山の擦り合わせを行います。
写真だと分かりにくいかもしれませんが、けっこう削ってネジ山を低くしないと入りませんでした。
次はストックチューブを取り付けてみたのですが、メカボックスから出ている配線の出口をもう少しストックチューブ側に寄せた方が良さそうなので、後でメカボックスを加工したいと思います。
ハンドガード長さは数種類あったのですが、ご本人の好みもあるかと思ったのと、どのみちちょうど良い長さの設定がなかったので、少し長めを準備。
いちおうキャリハン、フロントサイト、ハイダーを取り付けたこの画像をお送りし、ハンドガードの長さを選んでいただきました。
銃の先端とハンドガードの先端が、①①の組み合わせか②②の組み合わせのどちらかです。
答えはもちろん①①でした。
ですよね(笑)
①①のサイズで、ほぼオリジナルと同寸・・・かな。
ということで・・・一刀両断!
切断位置にマスキングテープを巻き、まずはサンダーで切断します。
その後に切断面を磨き、最後につや消し黒で塗装です。
ちょうどピッタリのサイズがあれば良かったのですが、ハンドガードの先端とフロントサイトのクリアランスが1mm、かつアウターバレルの先端にピッタリとフロントサイトが揃うようにするには、切断して長さを合わせるしかありませんでした。
お次は内部カスタムです。
F様からの内部カスタムの希望内容は・・・
・電子トリガーを入れて、ハイレスポンスにしたい
・DSG(デュアルセクターギア)仕様のハイサイクルカスタム
・可能な限りで、ロングレンジでも戦いたい
といった内容でしたので、何度もメールのやり取りを繰り返し、『流速ライト+ロングレンジカスタム』と『ハイサイクルプラス』を施工。
電子トリガーはTITANのアドバンスをインストールする事に決定しました。
軸受けやトリガーも交換するので、純正部品はメカボックスのケースとレシーバーくらいです(笑)
とりあえずメカボックスを取り出し、開けてみたところです。
さすがに新品だけあってキレイです。
いつも通り、全バラの完全洗浄です。
とあえずDSGが8枚ギアなので、ピストンの歯も8枚に合わせます。
シム調整の後で微調整が必要な場合は、またその時に削りたいと思います。
ここで大切になってくるのが、ピストンのOリングです。
シリンダーに対しピッタリすぎると、気密はバッチリですがピストンの前後運動時の抵抗が大きくなり、確実にサイクル低下の原因となってしまいます。
逆にスカスカだと、抵抗は無くなりますが気密漏れしますよね。
数十個あるOリングの中から、絶妙なサイズを選び出して装着します。
そこそこハイレートなスプリングを使うので、軸受はメタル製に交換です。
逆転防止ラッチのかかりが4枚しかない純正のベベルでは、せっかくのTITANの正確な動きがムダになってしまうので、次世代やハイサイクルタイプのベベルに交換します。
はい!だいぶすっ飛ばしましたが、シム調整にグリスアップ、TITANの組み込みまでが終わったところです。
トリガーは、F様のご希望でストレートトリガーに変更です。
メカボックスから出てきた配線がストックチューブ内に入れやすいように、配線の出口を新たに設けました。
これで配線を無理な角度に折り曲げることなく、ストックチューブに引き込めるようになりました。
グリップとモーターを取り付け、TITANの設定と動作確認です。
問題無く、快調に動いてくれました。
しかし、まだ安心はできません!
DSGを使ったハイサイクルカスタムなので、『想定しているサイクルになっているか』『正しく給弾されているか』『セミとフルで初速のバラつきはないか』『飛距離や集弾性はどうか』等々、全てが私の思ってる水準を越えないとお客様には渡せません。
ということで、次はチャンバーとインナーバレルに手を入れていきます。
どうカスタムしたかは置いといて(笑)
後はいつも通り、試射&分解を繰り返しながら、弾道と初速を調節していきます。
一発目の試射では、給弾ルートにわずかな段差があったため、正確な給弾がなされなかったので、まずは給弾ルートを修正しました。
今回は流速ライトカスタムなので、適正ホップ付近が最大初速となるよう、スプリングのテンションとインナーバレル長のバランスを整えていきます。
最後仕事はハイダーの加工です。
同じ形状のハイダーが見つからなかったので、加工しました。
最終的に完成した姿がこちらです。
じゃーん!!
って、完成写真は1枚だけかよ!!
すみません。完成した安堵感から、写真撮るの忘れてしまってました。
キャリハンとフロントサイトについては、オリジナルとは異なる形状になりましたが、そこはちゃんと理由があっての事。
後日、F様から「外装はもちろん、実射性能も大満足です」と、ありがたいメールをいただきました。
数値はこのようになっております。
【初速】 使用BB弾:G&GバイオBB弾
・新品時 0.20g ノンホップ 約91.3m/s → 適正ホップ 約88.7m/s
・新品時 0.25g ノンホップ 約81.0m/s → 適正ホップ 約75.8m/s
・新品時 0.28g ノンホップ 約75.6m/s → 適正ホップ 約70.0m/s
・カスタム後 0.20g ノンホップ 約88.8m/s → 適正ホップ 約92.2m/s
・カスタム後 0.25g ノンホップ 約80.4m/s → 適正ホップ 約84.7m/s
・カスタム後 0.28g ノンホップ 約77.6m/s → 適正ホップ 約80.9m/s
【サイクル】 使用バッテリー:7.4vリポバッテリー
・新品時 14.2発/秒 → カスタム後 34.9発/秒
サイクルにつきましては、もう少し上げる事もできましたが、お手持ちのFIRST様カスタム済の、マルイ製ツインドラムマガジンの給弾性能に合わせて作りました。
カスタムマガジンでなければ、もっとサイクルは低くなっていたと思います。
このサイクルで、45m先の女性マンターゲットの上半身をガンガン狙っていけるので、きっとゲームでも良き相棒となってくれると思います。